私たちは、1日でどのくらいの砂糖を摂取しているのだろう。
突如としてこんな疑問が浮かんだ私、AI(@kwhr_ai )は、ネットで「日本 砂糖 消費量」と検索し始めました。
まあ、そんなに糖質を摂取していないだろうと思う気持ちとは裏腹に、農林水産省の調べによれば、平成30年度における砂糖消費量は一人当たり45〜50g/日。これは角砂糖約15個分、500mlのコーラ一本分です。いくら健康に気をつかい、ジャンクフードやスナックを食べないとしても、このくらいの量は食べてしまっているのです。
そんな砂糖に関する映画があります。
オーストラリアの映画監督兼俳優のデイモン・ガモーが、60日間に渡り1日に砂糖をオーストラリア人の平均であるティースプーン40杯分摂り続け、心身の変化を一本の映画におさめたもの。

60日後、彼は砂糖について何を学び、どんな変化を体感したのでしょうか。今回はこの映画から読み取る砂糖に関する考え方をお話していきます。
もくじ
はじめに:きっかけ
元の食生活は健康志向

もともと甘いものが大好きでタバコも吸っていた彼ですが、恋人(妻)の影響ですっかり健康的な食生活を継続していました。精製された砂糖は使わない食生活で、人工甘味料も食べず、タバコもせずに運動を続け、一般的な西洋人に比べて健康的である体型の持ち主です。
脂質が悪者な社会が始まる

1950年代、当時のアメリカの大統領であるドワイト・アイゼンハワーが心臓発作を起こしたことをきっかけに、食生活に関する研究が注目されるようになります。
そんな中で容疑者は脂質と糖質であり、壮絶な戦いの末に糖質が勝利し、脂質が悪者扱いをくらいます。
そうすると、企業は精力的に砂糖のための経費を食品に投下し、ヘルシーとうたう低脂肪食品を大量に作り出しました。そして社会の中で砂糖を大量に含んだ食品が溢れかえるようになったのです。
果たしてこれが健康と言えるのか?
そんな彼は、砂糖を使う実験を決意します。
砂糖についてよく知らない

砂糖をたくさん食べるものの、実は砂糖について理解していないことを感じた彼は、60日間の人体実験を行います。栄養士や運動管理の専門家、医者や作家を巻き込み、計画を実行するのです。
ルールは以下の通り。
①1日ティースプーン40杯以上の砂糖を摂る(ティースプーン1杯=4g)
②ジャンクフードは摂らない
③週2,3回定期的に運動を行う
ここでカロリーは特に制限されていませんでした。純粋に砂糖の量だけ変えて、他の生活習慣は変えないようにして、砂糖の影響を見ていきます。
実験の軌跡
砂糖は多くの食品に含まれる

初日の記念すべき朝、何気なく彼が選んだのはシリアルと低脂肪ヨーグルト、りんごジュース。なんとこれだけでティースプーン20杯分になります。「朝食だけで?」
グラノーラにヨーグルトといった朝ごはんなんて、日本ですら見受けられます。つまり私たちも、気づかない間に砂糖を摂っているということがお分りいただけますか?
身体の変化

彼の体重は1ヶ月であっという間に5kg増えました。体重が増えただけでなく、驚いたことは彼の腹囲です。
妻の妊娠同様、彼の腹囲はぽっこり膨らんでしまったのです。これには健康管理の先生もびっくり。
最終的に、彼の体重は60日間で8.5kg増加、体脂肪率7%増加、腹囲はなんと10cm増加というなんとも恐ろしい結果が待っていたのです。
何が、彼をこんな体型にしたのか。それは紛れもなく砂糖の影響でした。
カロリーはほとんど変わらない

この実験の前までの彼は、1日あたり約2300kcalほどを摂取していました。それでも太ることなく、適性体重を維持しながら西洋人の平均よりも健康的な状態をキープしていたのは、そのカロリー源がアボカドやナッツなどのヘルシーな油由来だったから。
ところが、実験中(砂糖を大量に摂る食生活)でもカロリーはそこまで大きな差がなく、むしろ2300kcal以下の日もあったそう。
つまりは、気にすべきはカロリーではなく、カロリー源なのです。
映画内で明かされる砂糖の真実
監督兼俳優兼被験者であるデイモン・ガモーは、砂糖の神地であるアメリカへと渡ります。そこで知るのは、多くの砂糖に関する秘密でした。
内臓に脂肪を蓄積させる

彼の身体測定で体重が増加したことがわかった上に、身体の精密検査によって「内臓脂肪を劇的に増加させる」ことが分りました。
腹囲が大きくなり、ぽっこりお腹になる原因はまさに砂糖。砂糖を摂取してインスリンが分泌されることで、血糖値をどんどん下げる一方、エネルギーとして消費できなかった余剰の糖質が体脂肪として蓄積していくのです。
気持ちの浮き沈みが激しくなる

砂糖は血糖値を急激に上げ、急激に下げます。この上下の激しい動きにより、気分の躁鬱状態を生み出します。彼の場合はいきなり砂糖漬けの生活を行うことでその反応が顕著に現れていました。その激しさに医者や栄養士も心配するほどです。
砂糖には中毒性もあるので、砂糖の効力が切れるとまた欲しくなる、まるで麻薬のような力をもつことも、よくわかりました。

砂糖漬けの生活が当たり前になる

スプーン40杯分の砂糖摂取に僕の体は完全に適応した
個人的に一番震えた言葉です。スプーン40杯分の砂糖に、体は慣れるのです。
私たちが毎日食べる食事によって、私たちの習慣が出来上がります。最初は砂糖の甘さに嫌になったとしても、体は一旦慣れれば閾値感覚を狂わせ、もっと食べてもどうも感じないようになっていきます。
砂糖の中毒性は人生に関わってくる問題なのかもしれません。
企業は砂糖の影響を隠す?

アメリカで幅を利かせている多くの企業は、大学や研究所と協力して味覚に関する研究を行う。そんな中で、その研究者らが「砂糖が悪いのではなく、カロリー制限できないことが体に悪い」と主張するのです。さすがにこれは何かしらの利害関係が見えます。
それだけならまだしも、砂糖の中毒性に着目した企業が、もっと中毒性の高い食品を研究結果をもとにどんどん作り出していくことも知り、彼は衝撃を受けます。
健康な食品ほど砂糖の量が多い

ダイエットコーラ、ダイエットジュース、エナジーバー、低脂肪ヨーグルト…
これらの”健康”をうたう食品の多くには砂糖が過剰に含まれています。そしてここアメリカでも「健康に良い」と推奨され一躍ブームとなったスムージーにはスプーン34杯分の砂糖が含まれていました。
歯がボロボロになった少年

映画内で出てきた、アメリカで人気の飲料「マウンテンデュー」を飲み続けて歯がボロボロになった少年がとてつもなく衝撃的です。彼は17歳のはずなのに、見た目はまるで老人そのもの。歯科医師が手を尽くそうとしますが、歯茎まで弱ってしまい麻酔が効かず、治療を断念せざる終えませんでした。
そんな彼は、治療後もマウンテンデューを辞めないと動画内で宣言していました。まさに中毒です。
炭酸飲料は歯を溶かす。これは炭酸に問題があるのではなく、砂糖の含まれる量に問題があります。
この映画を振り返ってみて思うこと

砂糖は、私たちの食生活にとって切っても切り離すことのできない食品である一方、麻薬のように中毒性のある食品です。
頭を動かすためには糖質が必要ですが、必要量を超えた摂取量は体に害を及ぼします。
また日本で糖質制限が横行する現代では、砂糖中毒に悩んで人工甘味料に手を出す人も少なくはないはず。

気をつけて欲しいのは量はもちろん、その種類が大切だということ。清涼飲料水やダイエット食品に含まれる異性化糖・人工甘味料は避け、ナチュラルな砂糖や未精製糖を選びましょう。砂糖を完全に避けるのは、長期的にみて得策とは言えません。
補足:映画の最後

60日間の砂糖漬けの生活を終え、彼は徐々に元の食生活へと戻し、2ヶ月で6kgほど減量しています。その間は、ダイエットコーラやエナジーバーの代わりに脂質たっぷりのアボカド、ナッツ、皮付きの鶏肉を食べているのにも関わらず、体脂肪も血液検査も肝機能も全て正常に戻っているのです。
砂糖はゼロにする必要はありません
野菜や果物、穀物から摂る分にはいいでしょう。しかし、お菓子やジュースに含まれるスクロースやショ糖は、急激に体に吸収されやすい砂糖と言われます。
あなたの体を砂糖中毒から守るためにも、日々の食事の中で砂糖の使い方・摂りかたについて見直してみませんか?